
この記事の監修者
高橋 通
東京国際クリニック 院長/循環器内科
日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本人間ドック学会認定医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医。1994年筑波大学医学専門学群卒業。2008年、東京大学大学院医学系研究科医学博士課程修了。1994年から長年にわたり、国立国際医療研究センターや東京大学医学部附属病院の救急医療現場での循環器専門医としての臨床経験を経て、2015年より東京国際クリニック院長。
身体の錆びつき=酸化

今回はアンチエイジングにも関わる身体の「酸化」と「糖化」についてお話したいと思います。酸化というのは身体の錆びつき、糖化というのは身体の焦げつきを現します。まずは酸化からお話しましょう。
身体の酸化状態を調べるには、抗酸化力を検査するBAPテストと酸化ストレスを測るd-ROMsテストというふたつの検査方法があります。これらの検査で抗酸化力が低く、酸化ストレスが高値を示すと、その人の酸化度は高いということになります。活性酸素(フリーラジカル)による酸化作用についてですが、これは、少量であればがん細胞などを攻撃してくれる物質でよいのですが、多くなると皮膚のくすみやシワなどの老化現象につながります。更に酸化度が高くなると、やがて動脈硬化のリスクも高くなることが知られています。
酸化度が高い場合、抗酸化力を高めないといけません。抗酸化力を高めるための基本は食事です。ビタミンCやビタミンEはよく知られていますが、エビ・カニ・シャケなどに含まれるアスタキサンチン、赤ワインなどに含まれるポリフェノール、紫色の食べ物に含まれるアントシアニン、匂いの強いニラやニンニク、たまねぎ(動脈硬化にも良い)などに含まれる硫化アリルなど、抗酸化力のある栄養素を積極的に摂取しましょう。それでも抗酸化力が上がらない場合は、当クリニックでは血液クレンジング(オゾン療法)という点滴をお勧めしております。これは医療用オゾンと血液を反応させて、血液に適度な酸化ストレスを与えた状態にして身体に戻します。クレンジングというと浄化するようなイメージがありますが、実はこれは『ホルミシス効果』といいまして、身体にちょっとした負荷をかけることで、身体により強い反応を起こさせます。血液100〜150ccを医療用オゾンに反応させて身体に戻すことで、身体が本来持っている抗酸化力を高めます。
血液クレンジング後に、BAPテストの数値は上がり、d-ROMsテストの値は下がります。個人差もありますが、実際に酸化ストレスが30%下がり、抗酸化力が30%上がる結果も報告されています。最初は2週間に1回程度の血液クレンジングがおすすめです。血液クレンジングは、肩の凝りや疲労改善の効果も報告されておりますので、慢性疲労の方にもお勧めです。
身体の焦げつき=糖化
糖化とは、身体の中でタンパク質と余剰な糖が結びつき、劣化してAGEs(糖化最終生成物)という老化物質が生まれる反応のことです。糖化が進むと糖尿病や腎機能障害につながり動脈硬化にも関係してきます。生活習慣病以外にも例えば、老眼は糖化ストレスが高まることによって起こることがあります。
普段から間食が多くて血糖値が絶えず高い方、食事のスピードが速く、急激に血糖値が上がる方、運動不足により摂取した糖が消費されずに溜まってしまう方などは注意が必要です。以下に糖化度のチェック項目を紹介します。
- 食事のスピードが速い
- 朝食は食べない
- 定食などをご飯から食べる
- 野菜をあまり食べない
- パンや麺類をよく食べる
- 甘い物や清涼飲料水をよく摂る
- 食べ過ぎてしまう
- お酒を飲んだ後にラーメン(麺類)を食べる
- ストレスが多い
- 運動をしない
これらの中で当てはまるものがいくつあったかで糖化度がチェックできます。0〜2個であれば糖化度は低いですが、3個以上の場合は、糖化度が高い状態です。特に9〜10個該当する人は要注意です。糖化が進行すると生活習慣病や動脈硬化などにも進みかねません。しかしこれら10項目の習慣は改善可能です。
酸化度も糖化度も低いに越したことはありません。日々の生活習慣を今一度見つめ直してみましょう。



